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日本皮膚科学会が最も推奨する3つの治療
公益社団法人の日本皮膚科学会は「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」を発表しています。
薄毛治療に5段階の推奨度が定められ、その中で最高評価である「A.行うように強く勧める」がつけられている治療法が下記の3つです。
フィナステリドの内服
デュタステリドの内服
ミノキシジルの外用
引用元:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版
フィナステリドの内服
フィナステリドは、AGAの原因とされている2型5αリダクターゼを抑制する効果があります。
AGAの治療薬として有名なプロペシアはフィナステリドを主成分とした内服薬です。
フィナステリドが2型5αリダクターゼを抑制し、2型5αリダクターゼが髪の毛の成長を邪魔する2型DHI(ジヒドロテストヒドロン)をつくるのを防ぎます。
2型DHIは頭頂部や前頭部に多く存在するので、M字ハゲはO字ハゲの原因となります。
デュタステリドの内服
デュタステリドは、フィナステリドと同様に5αリダクターゼを抑制します。
フィナステリドは主に2型5αリダクターゼの抑制をするのに対し、デュタステリドは1型5αリダクターゼも抑制します。
1型DHIは主に後頭部や側頭部に存在します。
※1型5αリダクターゼが1型DHI、2型5αリダクターゼが2型DHIをそれぞれつくります。
さらにデュタステリドの効果はフィナステリドの1.5倍の効果があるといわれています。
男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインは、前回の2010年版があるのですが、デュタステリドは今回の2017年に新たに追加された治療方法です。
デュタステリドの内服薬としては2016年に販売開始したザガーロのみが厚生労働省の認可を受けています。
ミノキシジルの外用
ミノキシジルは上記の2つとは異なり、発毛効果が認められています。
ミノキシジルはもともと、高血圧用の血管拡張剤として研究されていましたが、発毛効果もあることがわかり、薄毛用の治療薬として開発されました。
ミノキシジルは内服薬もありますが、推奨されているのは外用薬のみです。
ミノキシジルの外用薬は市販されているため、病院に行くことなく手に入れることが可能です。
フィナステリドとデュタステリドの併用については未だ効果がはっきりしないため、個人での判断による併用は危険です。
しかし、ミノキシジルとフィナステリドもしくはデュタステリドとの併用は効果的といわれています。
ミノキシジルが発毛効果、フィナステリドとデュタステリドは薄毛の進行を遅らせるという効果なので、効果が重なることなくカバーしあえる関係にあるといえます。
それぞれ副作用はどうなっているの?
やはり、薬で気になるのは副作用です。
いくら薄毛に効果があっても副作用が大きすぎては実用的ではありません。
ここからはそれぞれの副作用を紹介します。
フィナステリド
フィナステリドは元々前立腺肥大症や前立腺がんに対する薬として開発されました。
前立腺肥大症の原因ははっきりと解明されていませんが、男性ホルモンが関係していることは間違いないといわれています。
このような経緯からフィナステリドは、男性ホルモンの働きを抑制するような働きをします。
これによって起こりうる副作用は、性欲減退、勃起不全といった恐れがあります。
これらの副作用はどのくらいの割合であらわれるのでしょうか。
フィナステリドの薬であるプロペシアの説明書には、性欲減退は1~5%未満、勃起不全は1%未満と書いてあります。
副作用が出る確率は高くはありませんが、自分の状況やパートーナーと相談して服用するか考えましょう。
デュタステリド
デュタステリドもフィナステリドと同様の経緯、効果を持つため副作用も同様に性欲減退、勃起不全の恐れがあります。
副作用の割合もフィナステリドと変わらないというデータがあります。
ミノキシジル
ミノキシジルは血管を拡張する効果があります。
したがって体に流れる血液の量が増えるためにおこる副作用があります。
ミノキシジルを頭に塗ると頭に血液が多く流れるようになるため、頭痛やめまい、ぼーっとするといった症状が比較的多くみられます。
外用薬なので肌との相性が悪いと発疹やかゆみといった肌のトラブルが生じてしまいます。
ミノキシジルが配合されているリアップでは、8.7%の割合で副作用が出ているそうです。
外用薬ということで刺激が強く、肌トラブルがある分他の2つより、副作用の割合が高いのではないでしょうか。
なお、これらの話はあくまで外用薬の話であり、内用薬はまた異なります。
副作用にはプラセボの場合もある
薬の効果を調べるうえで難しいのがプラセボ効果の存在です。
プラセボ効果は偽薬効果ともいわれ、何の効果もない薬を服用した場合でも効果があらわれることをいいます。
今回の場合、「これは、プロペシアで性欲減退の副作用があります。」と何の効果もない錠剤を患者に服用させた場合でも性欲減退の効果が生じてしまうことを言います。
実際、フィナステリドやデュタステリドの研究でも、本物の薬を与えた場合と偽薬を与えた場合を比較して効果を確認しています。
そして、偽薬の場合でも少なくない割合で性欲減退の症状を訴える患者がいました。
特に性欲減退は精神的な影響も強いため、本物であっても本当に薬の副作用かはわかりません。
副作用は決して楽観視してよいものではありませんが、あまりに副作用を気にしすぎるのも問題です。
薬の服用は医者と相談しよう
薄毛治療に有効な3つの成分を紹介しました。
日本皮膚科学会が強く勧める治療法です。
そのため、その効果は保障されているといえます。
しかし、効果が強い分副作用の恐れも多いです。
今回紹介した3つの成分は、幸い副作用が重大で、起こる確率が高いとは言えません。
それでも、副作用のリスクを軽視することなく、もし副作用が起こってしまったときのことを想定しつつ服用することが求められます。
ミノキシジルが配合された薬は市販されているため、手軽に試すことができます。
しかし、少しでも不安なことがあればすぐに医者に相談しましょう。